第8回 フィリピン医療ボランティア 2013年2月7日(木)~10日(日)
ボランティア活動報告
3泊4日の日程で、今年もフィリピン医療ボランティアが開催されました。
今回の訪問地区は、マニラ近郊の「カビテ市」「マニラ市」です。
日程 2013年2月7日(木)~10日(日)
2月7日(木) | バランガイ ワカス2エリアにて物資配布 |
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2月8日(金) | ビナカヤン小学校、ブルコス小学校にて医療奉仕活動 |
2月9日(土) | トンド地区にて医療奉仕活動 |
2月10日(日) | サマラ・マルケスにて物資配布 |
参加者
歯科医師 | 18名 |
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歯科衛生士 | 10名 |
歯科技工士 | 2名 |
歯科助手 | 2名 |
看護師 | 1名 |
薬剤師 | 1名 |
一般参加者 | 16名 |
高校生 | 24名 |
現地通訳 | 14名 |
総勢:88名
具体的な奉仕活動
1日目
バランガイ ワカス2エリア
このエリアは約3,000人の人々が暮らしています。そのほとんどが海沿いのスラムという特性から漁師やトライシクルで生計をたてています。
また、この地区では約1,500人の子供達がいます。小学校は公立の為、無料で誰でも入学はできますが、貧困の為家計を助ける為に親の仕事を手伝い途中で通えなくなる子供もいれば、仮に卒業をしたとしても次の進路に進学ができないのが現状です。
今回は小学校を会場とし、延べ500人の住人に歯ブラシ、タオル、固形石けん、お米2キロ等の物資支援を行いました。
しかし、今回この会場で物資を貰える人数は500人です。ではこの500人はどのように選ばれるのでしょうか。それは私達が来る数週間前より地区の村長をはじめその地域のリーダー達が相談し合い、最も貧しい家庭「500世帯」に事前に整理券を配っているのです。
2月8日 活動2日目 ~医療奉仕活動 初日
A班 カビテ市 ビナカヤン小学校
この学校では約300人の生徒達が治療を希望しています。
全校生徒2,000人。5歳からの幼稚園を併設しており、公立の学校なので入学は無料。しかし、貧困の為子供達は家計を助ける為親の仕事を手伝ったり、ゴミを拾いお金に換金できるものを集めたりと、全体の2割は途中で学校に来なくなってしまいます。この学校には制服がありますが、これは自分達で用意しなければなりません。その為、貧しい地区の子供達は親戚や周りの人達にお願いをして何とか入学までに買い揃えるそうです。しかし、ノートや鉛筆は高価な為ほとんどの子供達は買うことができません。教科書などは数人で使用し、黒板はあるもののチョークなどはほとんど無く、紙にマジックで書いた単語や算数の問題を張り出しては何度も使い回しをして授業を行っていました。
外見は綺麗で大きな学校ですがその中身はやはりスラム地区の学校で、全くといって良いほど勉強をする道具がありませんでした。
B班 マニラ市 P ブルコス小学校
この学校の生徒数は4,615名。その中でも今までの活動でも初めてとなる「スペシャル・チィルドレン」と呼ばれる障害を持った子供達を受け入れている学校でした。
この学校では6歳からの子供は何の区別もなく全て受け入れており、今回は278名在校する障害児の内、120名をまずは優先して治療して欲しいと希望がありました。この学校は市からの支援が比較的されており、例えばノートや鉛筆類はバックに入れ各生徒に支給され、年にTシャツ3枚、靴なども支援されています。しかし、周囲の生活は決して恵まれてはおらず、ここの住人たちは主に「物売り」や「トライシクル」で生計を立て、一日平均500~600ペソ(日本円で1,000円程)で生活をしています。
今回、私達の活動でも初めてとなる「障害児」への治療はその子が持つ全身的疾患の詳細や現在の体調、薬のアレルギーなど、本来日本であれば内科医との提携によりその内容は容易に把握できるものも、ここフィリピンのスラムでは学校医や学校看護師は一応の存在はありますがほとんど機能していません。
ある子供が一人、診療室をかけずり回っています。
通訳を使って説明しても理解することは難しく、友達の所に行ってはまた戻って来てまた座るを繰り返しています。
2月9日 活動3日目 医療奉仕活動2日目
Holy Family Parochial School
San Andres Bukid,Paco,Manila
患者数およそ600人です。恐らく今日一日で、できる人数の限界だと思います。しかしこのスラムでは10万人の人間がいます。ではどのようにしてこの600人を決めたのか?
どこの地区でも同じですが、私達の現地チームが事前に全ての世帯を調査し、最も貧しい家庭を選び、尚かつ公平を期す為に各家庭一人のみの治療としています。
一家で一人の治療。それは10万人のスラムの住人の内、最も貧しい家庭の中で最も困っている人を対象としているということになります。
2月10日 活動最終日
バランガイ サマラ・マルケス
活動最終日は物資配布の活動です。この地区は毎年最終日に訪れ私達の会が継続して物資支援を行っているスラムの一つです。 ここでは500人分の物資を用意しました。
この地区は大人3,000人、子供5,000人ぐらいの人達が住んでいるといわれています。
周囲を海で囲まれている為、主に漁師を生業としていますが、3年前から高速道路の拡張の為、湾の埋め立てが始まり、魚が捕れなくなってしまったそうです。その為一日の平均収入は200~300ペソ(日本円で400円~600円)程で、その他、半年契約の工場などの仕事は一日平均285ペソといわれています。また、この地区には「スカベンジャー」と呼ばれる「ゴミを拾って生計を立てている人」も住んでいます。毎朝ゴミ捨て場に行き、お金に換金できるものを拾い生活をしています。
感謝を込めて・・・
2013年 2月7日~10日 4日間 フィリピン共和国 マニラ市近郊スラム で行われた ハローアルソン・フィリピン医療ボランティア は物資配付 約1,000人 患者治療数は過去最多となる1,405名 という結果になりました。大きな怪我や事故もなく今年も素晴らしい活動ができたことは、私達の活動をいつもさせて下さる皆さんお一人お一人のお陰です。心から感謝申し上げます。
大学の親友である今西先生、関口先生に物凄い世界があるということで、軽い気持ちで最初は参加したのがきっかけです。
何もかもが衝撃でした。
廃材でできたいつ壊れるかわからない家・・・。
ゴミを拾って生活している人達・・・。
異臭の立ち込める世界で暮らす子供達・・・。
いかに自分達が恵まれているか実感しました。
日本から3時間程で、こんなに世界が変わるとは想像できませんでした。
日本はどこへ行っても清潔で美しい環境。
日本の道路は段差も無く舗装されており、ゴミで溢れかえっている所はほとんど見かけることはありません。
いかに、我々が恵まれているのか実感させられました。
日本であれば治療できる健康な歯を抜かないといけない時です。
フィリピンでの治療には、どうしても限界があります。
何度もこれが日本だったらいいのにと思いました。
子供の歯を抜く時は、涙が出そうになります。
日々の診療に対して、考え方が変わりました。
いかに患者さんの生活環境が良くて、歯を守れる環境があることの訴え方が変わりました。
スタッフ全員が現地に参加できる訳ではありません。
参加したスタッフは、クリニックを代表して参加するので責任感も生れますし、仕事に対しての取り組み方が変わりました。
現地に参加するだけでなく、日本で行えるボランティアもあります。
歯ブラシを集めたり、募金をお願いしたり、現地で使う道具の準備をしたりとする中でクリニック内にもチームワークが生れたと感じます。
凄く協力して頂いてます。
歯ブラシの寄付や募金の協力は勿論ですが、
ボランティアに参加するので、診療を休むことになるので、患者さんに「ご迷惑おかけします。」とお詫びしても、「いってらっしゃい!」、
「気をつけてね。」と快く送り出して頂いてます。
帰ってきたら、「おかえり!」と迎えて頂いてます。
本当に有難いです。
理想は、日本と同じ治療ができる活動にしたいですが、現実はかなりギャップがあり不可能です。
当面は、仲間を増やして
「気持ちの支援」「物の支援」「治療の支援」の量を増やしていきたいです。
ボランティアに参加することで、自分を高められていると感じていますので、このことが日本の社会に還元できるようにしていきたいです。
最初は、軽い気持ちで参加しましたが、今ではこの活動に参加させて頂いて感謝してます。