
離乳食っていつから?どう進める?〜お口の発達を育てる食べ方〜
先日のスタッフミーティングでは「離乳食」について勉強しました。
歯科医院で離乳食?と思われるかもしれませんが、実は私たちの専門である「お口の機能」を育てるうえで、離乳食の進め方はとても重要なんです。
特に今回は以下のようなテーマについて、みんなで情報を共有しながら考えました。
- 離乳食はいつから始めたらいいの?
- どんなステップを踏んで進めていけばいいの?
- ストローの使用はいつからが適切?
- スプーンでの食べさせ方の工夫とは?
- 「手づかみ食べ」がなぜ大切なのか?
これらを整理したうえで、私が日頃から取り組んでいる「マイオブレース矯正」や、イギリスの矯正医ジョン・ミュー先生のお話も交えて、改めて「食べ方の大切さ」を学び直す時間になりました。
離乳食は「お口の準備」ができてから
離乳食のスタートは「〇ヶ月だから始めよう」と思いがちですが、実はそれだけでは不十分です。
本当に大切なのは、「お口の中の準備ができているかどうか」。
舌や顎の動き、唇の閉じ方など、赤ちゃんのお口の状態をよく観察することで、準備が整ってきたサインを見つけることができます。
たとえば、
- よだれが増えてきた
- 大人の食事に興味を持つようになった
こうした変化をキャッチすることで、「今がスタートのタイミングかも」と気づくことができます。
柔らかさは“発達”のバロメーター
離乳食で最も大切なチェックポイントの一つが、「食べ物の柔らかさ」です。
最初の段階ではドロドロなものになりますが、次第に舌で押しつぶせる程度の柔らかさ、そして徐々に“もぐもぐ”や“カミカミ”が必要になる固さへと進めていく必要があります。
この時にはお口の中の状態、ようは歯が何本生えているのかやお口の動かし方で慣れた状態の判断が必要です。(お家では歯の本数を気にするだけでいいと思います)
この段階をうまく飛び越えてしまうと、後々「噛めない」「飲み込みにくい」「お口がぽかんと開く」などのトラブルにつながることも。
「手づかみ食べ」も口の発達の一部
周りが汚れて大変なのが手づかみ食べだと思います。床もテーブルも汚れて片付けが面倒に思いますよね?
でも実は、これは「自分で食べようとする意欲」や「食べ物の形・硬さ・温度」を手の感覚を通して学ぶ大事な行動です。
また、指先の運動は脳の発達と密接につながっています。
「脳」と「お口」の発達はセットなので、こうした全身の成長も含めて、離乳食の時期はとても大切な時期になります。
私がイギリスでお会いしたジョン・ミュー先生は、「本来、離乳食に入る前に28か月の授乳期間が必要だ」と話されていました。
でも、私たちの今の生活リズムの中で、それをそのまま実現するのは、正直とても難しいことだと思います。
それでも、この言葉から私が感じたのは──
それほど長い時間をかけて、赤ちゃんのお口の働きは、舌・唇・顎などが協調して動けるようになっていくものなんだということ。
そしてその「お口のチームワーク」が育つことが、
実は、頭の骨=顔や頭の骨格の成長にも大きく関わっているのです。
噛むこと、飲み込むこと、姿勢を保つこと──それらはすべて骨格の成長と関係しています。
マイオブレース矯正では、歯並びそのものを“治す”というよりも、「お口の機能を正しく使えるようにする」ことを重視しています。
離乳食のステップも同じです。
何を、どのように、どのタイミングで与えるかによって、お口の機能が育ち、将来の歯並びにも大きな影響を与えます。
まとめ:育てる離乳食を
離乳食は「栄養をとるため」だけのものではありません。
お口を育て、体を育て、心を育てるスタートラインです。
一人ひとりのお子さんに合ったタイミングと進め方で、「育てる離乳食」を意識してもらえたら嬉しいです。
これからもクリニックでは、こうした育ちの視点を大切にした情報を発信していきます。